約10年前の少年

おとついのこと、免許証の更新という理由で実家の方に帰った。世界で2番目に高い泉北高速線にて光明池へ。
教習所のオジイの説明を聞きながらちょっと交通への意識を高めつつ新免許証を手に入れた。
…変な顔だった。
オマケにオジイが「普通免許ない人〜?」なんて聞くもんだから「ハイ」と答えたら僕だけだった。
…恥ずかしかった。
帰り、途中の駅で昔よく通ったスタジオを見つけた。まだ健在で、入り口の飲み放題のコーヒーを腹がじゃぶじゃぶになるまで飲んだ。あの安っぽい味はあの頃のままだろうか…。
マーシャルのよいアンプが備えられててそいつをフルテンにして直結し、テレキャスターのギターを掻き鳴らせば…幸せだったなぁ。
そして僕がまだ高校生だった頃に過ごした街に友達に会いに来た。つまりこの街の高校に通ってたわけだが…退学してから近寄ることは殆ど無かった。
寧ろバイク屋のオヤジに会うか余程の用事でもなけりゃ近寄るのは御免被りたいぐらいで…苦い思い出が蘇るから。
どうしてあんなに何かにキレていて何かに反発せずにいられなかったのだろうか?
自分が心開けば誰かと解りあえたかもしれないというのに。きっといい奴もたくさんいただろう。
世界を狭くしたのは捻くれて素直になれない自分自身の心だったなと今は思える。ただスネてただけだったんかもしれない。きっと子供じみた理由だったろう。
そんな風に考えながら通った駅の改札を出たらば…土地開発によりほんの少し様変わりした街が。
ホントは友達と楽しくバカな話をして、胸をときめかせる可愛いベイベーと付き合い憧れの登下校…ホントはそんな普通の生活が欲しかった。
ただこの歳になって、10年前の迷走があってこそ今の自分が在ると思えた。回り道したけれど、コート着てトボトボ歩いてた少年は今はとても自然体で生きている。普通じゃないが。
来てよかった。
自分の人生が僕はとても好きだと確認できた。そう感じさせてくれるのはきっと、僕に関わってくれる人達の助力と、速度は亀に等しいが自分の努力のおかげなんだろう。
そして狭山池なる場所に向かった。元々は思い出のつまった小さな遊園地があった場所だがニュータウンに変わり、だだっ広い公園になってた。
土手に座り、すず虫の声に耳を傾け星空と街の明かりと池に映るネオンのコントラスト、時折重なり合う南海電車を眺めてると…どーにも素敵でして…。ホント堪らなくいい気持ちだ。
見慣れた310号線の脇にこんなにも静かで安らぐ場所があったなんて。
…あぁ幸せだ。
この街でこんな風に感じる自分になることを10年前の少年は予想もしなかっただろうな…なーんて少しおセンチになりながら喜びを噛み締めた。
つくづく人生とは面白い。そんな木曜日の夜。
予断だが終電を逃して実家に帰った。
- 2006.10.28 Saturday
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- 04:14
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- by SHU matsukura