友との別れを乗り越えて次なる町へ、、、
カッパドキアを発ってバスはデニズリへと向う。
ギョレメが見えなくなったら何だか涙が止まらなくなった。
この先への不安はとんでもなく大きく感じている。
また一人旅が始まるのだ。
だがイスタンブールでも一人でどうにかして見たいところは全部見て回ったし、どうにかしたじゃないか。
きっと大丈夫。
カッパドキアに引き返したい気持ちはある。
だけどそんなことしたらみんなが教えてくれたことが無駄になりかねない気がした。
僕はこの旅を続けるぞ!
隣のゲイを追っ払いつつ、決意を固めている僕の顔の前に紙コップを持った一本の腕が伸びてきた。
パムッカレ行きのメトロバスのおっちゃん。
運転手とは別に、お水やコーヒー、紅茶や車内のあれこれを引き受けてる人。
Wi-Fi使わせて?って頼むとしばらく考えた後にすげーめんどくさそうな顔してNOと言われる。
Wi-Fiあるの知ってんだぞ、、、。
一見めっちゃ怖い人だった。
怒ってるのか普通なのかがよくわからない。
何これやだ怖い。
お水を飲んだらすぐのタイミングでコーヒーか紅茶が振舞われる。
飲んだばかりだがせっかくなので頂いてホルダーに紙コップを入れた。
するとおっさんはぐいっと飲めっていうジェスチャーをする。
まぁ確かに危ないわなと思ってチビチビ飲む。
またおっさんが来る。
水飲めって。
もういいよーって話してもおっさんは英語がわからない。
しゃーないと思って水をグイっと。
またすぐおっさんが来る。
はよ水を飲み干せよ、紅茶入れられないだろ?
、、、、いやいやおっさん僕で遊んでるだろとようやく気付いた。
おっさんは初めて笑顔をー見せてくれた。
いい笑顔だった。
休憩場のレストランでハンバーガーを頼む。
シェフのめっちゃでかい立派なおひげのおじさんしか英語できないからおっさんに頼めと言われる。
めっちゃ怖かったがWi-Fi使わせて頂いたしちょいと世間話も交えた。
優しいおっさんだった。
バスのおっさんといいシェフのおっさんといいめちゃんこツンデレだ。見た目が。
そしてバスはデニズリへ到着する。
おっさんと堅い握手。
気をつけてな、、、的なこと言ってくれたんだと思う。
おっさん、いつかまたあんたのバスに乗ってここに来たいよ。
ありがとう。
ここからは小さなバスへと乗り換えてパムッカレへと向かうのだ。
今回チケットは一つで乗り換えも含まれてる。
何やら運転手同士が俺が乗せるんじゃい!的なケンカをし出してびびる。
めっちゃ怖い。
何かネットで見たが一人かなり困ったちゃんがいるだとか。
すったもんだの末にパムッカレへと僕は到着した。
メトロのオトガルでカシュへと向かうチケット交渉をしなくちゃ。
取り敢えず荷物を置かせてもらう。
しどろもどろな英語で「今夜カシュに行きたい、パムッカレのサンセットを見てからバスは間に合うか?」
うまく伝わらない。
するとお隣にいた韓国人のカップルが僕にわかりやすく教えてくれた。
答えはノー。夕陽を見てからでは遅い。
ならば明日の一番早いのにしたらどう?私たちもそれに乗るのよとのことで代わりに交渉してくれた。
異国の地で触れる同じアジア人の優しさに僕は温かい気持ちになった。
このお2人にはこれから先も随分とお世話になることになる。
そして宿をどーするべと悩んでたら受付の兄ちゃんがウチのホテルはいいぞーと言って来る。
本当かよメーン?なんて思ってた時のことだった。
ある女性がオトガルに来てインフォメーションカウンターに腰を下ろした。
「っしょっと、、、。」
僕は聞き逃さなかった。
これは日本語だ!
すがるように日本人ですかー!?と聞いた。
彼女はエイコさん。
このパムッカレでの僕のオアシスになる人だった。
どん兵衛は西側の味がやっぱ好きとか他愛もない話に始まり、色んな人びととの出会い、旅人の話、仕事について、日本やトルコ経済について、、とにかく色んな話をした。
どれもこれも為になる話だった。
パムッカレで困ってる日本人がいたら絶対力になってあげたい、そんな優しさに溢れたエイコさんは自分がいない間に困ってる人がいたらと思うとゆっくり帰省も出来ないという徹底ぶり。
仕事に対する考えがとにかくかっこいいのだ。
休日でもたまに困ってる日本人がいたら駆り出されるだとか、、、
ここパムッカレの村はとにかく人々が仲良し。
ウチでご飯食べてけよ!とかウチ遊びに来いよ!とかしょっちゅうだそうで、みんな家の前にテーブルと椅子を用意してダベりながらチャイ飲んでる光景がどこにでもある。
人と人の距離が近い。
田舎ならではの温かさがここにはあった。
エイコさんがここで働こうと思える気持ちがわかった気がした。
高度経済成長前の日本はこんな感じだったんじゃないだろうか、、、。
僕はこの村にすごく安心感を感じていた。
オトガルにいた青年はホテルの息子でオズトルコホテルに安く泊まらせてくれるということでお願いしたのだった。
ホテルはプール付きのすげー豪華な作りだった。
安いのに!
朝ごはんを作ってもらいパクつく。うまい。
僕よりもずっとでっかいトルキッシュママは愛想も印象も声も大きい。
宿屋のエロい息子も下ネタばっかだけどいい奴だ。
日本人の女の子が1人いるけど手ぇだすなよ?じゃますんなよ?だと。
彼の友達もだいたいみんな自分のちんちんがいかにすごいかばっか話してくる。
僕はこのホテルがとても好きになった。
まずはパラグライダーを申し込んでみた。
何でも安くしてくれるってんでせっかくなので。
シャトルバスでゴトゴト揺られながらフライトに向かう。
空からパムッカレを撮影できたらばどんなに最高かと胸踊らせた。
だが残念なことに一眼レフは危険なので禁止。
僕のom-dはダメだという。
コンパクトなQ10をホテルに置いて来てしまい、僕はとてつもなく肩を落としたのだった。
あぁなんてことだ、、、、。
気を取り直して飛ぶ!
ダダダダダと走って一気にフライッ!!!!!
アイキャンフラーーーーーイ!!!
飛んでる!!!!!
飛んでるで!!!!!
インストラクターのノリノリな陽気なおっちゃんと大声で叫ぶ。
ハローパムッカレー!!!!
メラハバー!!!!!
お「SHUは飛ぶのは初めてか?」
僕「おうよ!」
お「俺はセカンドフライだよ」
僕「マジかよ!!!大丈夫かよ!!!」
まぁとんでもないトルキッシュジョークってやつだった。
笑えるけど笑えねーよ!!!!
くるくる回転したり自在に操ってくれるおっちゃん。
すげーいい気分だった。
これで自分で撮った写真さえあればなぁ、、、
実は写真とムービーはおっちゃんが撮ってるのだ。
フライト後はオフィスに行って気に入ったらデータを買えばいいし気に入らなければ買わなくていい。
しかしまぁそこそこの値段はするので悩ましい。
おいらバックパッカーだから金ないよ?とは言っておいたが。
オフィスでアイスティー二本貰ったしデータ代めっちゃマケてくれたので買うことにした。
アホみたいにはしゃいでる動画と魚眼レンズで撮ったいい写真が入ってた。
ただ自分の写真が気に入らん。
何故かわかんないけど写真みんな最近シャクレ気味だ。
すごくムカつく。
ありがとうおっちゃん!!!
少しばかり休んでいざパムッカレへ!!!
ここであることに気づく。
トルコ石がねぇ!!!
ただしヒモだけある!!
金具が外れたようだ!!!
これはどゆこっちゃ!
ダメもとで買ったとこに電話しようと思うがトルコ語がわかんない、、、。
ここは恥を忍んで、、、エイコさんに助けを求めよう、、、
いや、待て待て情けなくないか?
葛藤する。
武士は食わねど高楊枝、、、こんなことで困らせてはいけない!
だがしかしだ、、、
歩いた道をひたすら探す。
とにかく探す。
数時間後、僕はエイコさんに泣きついてた。
そしたら何とだ、オフィスに落ちてたんだ!
超かっこ悪いけど!超嬉しいよ!!!
石は持ち主の元に帰るとエイコさんは言う。
僕はこの人に甘えてほんと良かったと思った、、、、、。
お礼にポストカードをプレゼントさせて頂いた。
心意気のかっこいい人だったなぁ、、、
さぁようやくパムッカレだ!!
壮大な石灰棚を見るのだ!!!!
眼前に広がる大きな丘の全てが真っ白な石灰の塊、、何がどうなりゃこんなことになるんだろうか、、、
こんなの見たことねぇ、、、
これめっちゃでかいんですよ。
ちょいとした小山です。
サンダルや靴ははいて入ってはいけない。
所々石が荒くて痛いけどよちよち登ってく。
基本的にはツルツルスベスベなのであるがこいつが時として牙を向くのだ。
滑っちゃう人もけっこーいるのだ。
そんな時に僕に声をかけてくれた人達がいた。
僕のチケットを取ってくれた韓国人のカップルの2人だ。
嬉しくなってついつい長話をしてしまう。
2人とも英語もペラペラだし日本語もできちゃうのだ。
ハネムーンに来ている新婚ホヤホヤなWooさんとEvaさんのお二人は本当に優しくて僕は2人が大好きになった。
助けてくれたお礼と仲良くしてくれたお礼にポストカードをプレゼントした。
そしてまた明日!とお別れする。
また明日、、、いい言葉だ、、、、
パムッカレのうすい水色のなんとも言えない色した石灰棚は温泉で、つかってもいいのだ。
僕はカメラがあるし荷物を自分から離すのは不安なのでパス。
しかし足くらいは着けたいと思うのが人の心というもの。
レッツトライ!!!
ツルッ
バッシャーーーーーーん!!!!!!
盛大に尻餅である。
どうにかカメラは無事だった。
パンツも服もびちゃびちゃだけど。
脱げる範囲で脱いで渇かした。
こんな異国の土地に来てまで逆ミラクルのスキル発動。
何故に僕はいつもこうなのか。
服を乾かして石灰棚の上へ上へとよじ登る。
まだまだ。
上の方は何だか荒々しい。
なんというか人が踏み入った形跡がないというか。
足の裏が痛い。
いい見晴し!!!
かなり高いとこまできた。
頂上は近い。
誰よりも高く登ってやるぜ!!!
そんな時だ、、、
ピピピピピピー!!!!
けたたましい笛の音だ。
僕は知らなかったんだがちゃんとコースが決められていて登ったり下ったりはご法度なのだ。
そうとは知らずにむちゃくちゃ高いところまで登ってしまった僕。
めっちゃ怒られました、、、
日本人としてごめんなさい、、、、、、
恥ずかしくて死にそうだった。

棚に溜まった温泉。
気を取り直して規定のコースをどんどん登る。
そして人がむちゃんこいる撮影スポットへ。
確かにすごい。
すごいんだが、、、絶景ポイントは本当にここか?
僕が写真で見た場所はここではないはずだ。
ここでもない、、、、
僕の方位磁針によればここは後ろの山の影で夕日は射さないはず、、、
パムッカレの上には円形劇場遺跡や遺跡プールがある。
それも早々に切り上げて撮影スポット探し。
もしかしたら行ってはいけない場所にそれはあるのか?
この角度でもないここでもないを繰り返す。
何時間も探していると不思議と仲間っぽいガチカメラな人ができてくる。
みんな探しているのだ。

遺跡プール

円形劇場遺跡

こんなん好き。
夕陽が見たいし水面が染まるとこが見たいのだがどうもここは影になってて夕陽が差すとおもえない。おかしい。
そこでイケメンのカメラマンが何やら不思議な場所に足を踏み入れた。
ん?
ここじゃね!!?
おー!!!と声があがる。
彼はウインクしてみせた。
イケメンすぎやろ。
何とみんながうじゃうじゃいる真裏側に絶景はあるのだ!
気付いた人はほんと少なくて少人数で撮影し放題。
僕とイケメンは最高の場所をキープ。
イケメンのカメラはよく見たらom-dのem5じゃないか!!!
僕のem1のお兄さんにあたる機種だ。
イケメンもそこに気づく。
ハローブラザー!
僕らは笑いあった。
なんだかすげぇ楽しいぞコレ。
イケメンの名前はトム。
カメラ3台駆使して撮影するツワモノ。
そして夕陽を一心不乱に撮る。
石灰棚に溜まった水が染まる。
ああでもないこうでもないを繰り返す。
そしてやがて最高の瞬間が訪れた。
みんなが一瞬静かになる。。。
そして、、、、
サンセット、、、今日も一日お疲れ様!!

きゃっきゃとはしゃいでる僕らをピンク色のきれいなドレスみたいなワンピース着た日本人ぽいお姉さんが微笑みながらこっち見てた。
ほへー美人だねぇ、、、夕陽に合うねぇなんて思った。
そして下山開始。
まぁなんのハプニングもなく帰りました。
パムッカレは中国と韓国の人達に人気みたい。
でも日本人は一組しか見なかったなぁ。
宿に帰ってママさんにご飯作ってもらってるとエロ息子が何やら女の子とキッチンにいる。仲良さげに飯作ってる。
ははぁー、噂の日本人の子だな、、、?
そんなことより僕の飯はよはよ。
何やらいつもと違うイケメンオーラを出そうと頑張ってるのが見て取れたので邪魔しんとこと思ったらば、、、
キッチンから出てきたのはパムッカレで見たきれいなお姉さん!!!?
何と日本人の女の子とはお姉さんのことだったのだ。
めっちゃ楽しそに写真撮るのでついつい見て微笑んでしまったんだとか。
しかもこんなきれいなドレス姿だけど彼女もまた旅人だった!!!!
カッパドキアのドミトリーにいたってんだから驚いたねぇ。
とてもじゃないがバックパッカーにゃ見えないお上品さに面食らった。
なんかこれからお出かけするみたい。
息子の友達も来てたから友達が狙ってたのかな??
募る話もあるがバカ息子がヤキモチ焼くからこの辺で行ったほがいいよと促す。
あと彼はいまりりしいモードだけどエロいから気をつけてねも付け加えておいた。
でもすげーいい奴だよともつけておいた。
明日、息子の話聞くのが楽しみだねこりゃとか思ってママがご馳走してくれた食後のコーヒーをすすってたら、、、、見覚えのある人パート2が!!
トム!!!トムじゃないか!!!!?
トムもまたここの宿に泊まっていたのだ。
思いがけないブラザーとの再会で盛り上がる。
レンズ交換して遊んだり、エクスペンシブな純正品の電池3個も買ったぜちくしょう!とかいっぱい話した。
このレンズすごいんだぜ!つけて見ろ!
バカだな電池は中国製で充分OKだよ!
この広角すげぇ!
この魚眼安いんだぜー?
このレンズ最高なんだよ!
などなど、、、
トムはたくさん喋ってくれた。

イケメンスマイル。
僕は知ってることも彼に尋ねたりした。
そうすることで会話は膨らんでよりコミニケーションを取りやすくなる。
そして生きた練習になる。
これもこーちゃんが教えてくれたことだった。
今頃カシュにいるのだろうか、、、
ありがとう友よ、、、。
そして夜は更けてパムッカレともお別れの時がやってくる、、、、。
つづく